リフレクシヴ・カンバセーション:組織の変容は、組織を語る言葉の変容から始まる

本日も組織のマネージャーさん達と終日じっくり組織について語りました。
今日は特に、皆さんの分かち合いの言葉から、組織の中でのリフレクシヴ・カンバセーションの可能性に確信を持てた気がしています。
リアルなマネジメントの悩みを語り、認証されて涙ぐむ姿を見て、心揺さぶられました。そして、この立場の人たちを支える構造がやっぱり必要だと改めて思う私です。

組織には2種類の問題があると言われています。ロナルド・A・ハイフェッツ氏の『最難関のリーダーシップ』にある定義によれば、問題の原因がはっきりと特定でき、現状と理想のギャップを埋める問題解決アプローチで答えが見つかるものと、原因というものそのものの存在も曖昧で、これという正解がない課題。前者を「技術的な問題(Technical Problems)」、後者を「適応を要する課題(Adaptive Challenges)」と言います。前者は、過去の知見から解を紐解くことができますが、後者は、人間関係だったり、認識のズレだったり、ものの見方の多様性だったり、様々な要因が介在していて、簡単には解が見えてくることはありません。関係が硬直している状態を緩めていくことで動いていく、つまり、課題の当事者自身が、自分の変容が必要であることを受け入れ、自らの認識、関係性、見方、行動を変容(適応)することによって、初めて解決の糸口を見つけることができる、という中々やっかいなものが、適応を要する課題です。

プロセスラボラトリーでは、その組織にあるかもしれない「適応を要する課題」に向き合いながら、自分自身のマネジメントを再考する組織開発ファシリテーションの取り組みに、ナラティヴ・アプローチの相互支援であり、省察的実践の形でもある「リフレクシヴ・カンバセーション」の枠組みを取り入れています。

この取り組みでは、聴くと話すを分けて対話する「リフレクティング」という構造と、「ナラティヴ・スーパービジョン」の認証と可能性の生成という枠組みによる、お互いを支え合い、お互いの困りごとを共に考え、自分自身と向き合う対話する場をつくり出しています。賞賛ではなく、認証という、相手の存在をしっかりと受け止める聴き方と、助言ではなく、可能性の一つを生成する仲間として存在すること、そしてリフレクティングという会話の構造から生まれる「内的会話」によって、十分にご自身を省察しながら対話する。ここから、どう自己変容できるかを自ら選択する、その「行為主体性:エージェンシー」を育んでいくことになります。

体験したマネージャーさん達の言葉

  • 何かが変わる気がする
  • なんとかなる
  • 小さな話題から今後のチーム運営に役立つ話が出来た
  • 浅く考えていた悩みをしっかり考えることが出来た
  • 認証・共感は、安心とほっこり嬉しい時間をつくる
  • 日常の中のコーチングにも活かせそう
  • 人間関係の自分には無い視点が得られた
  • やってきたことを認めてもらえただけでなく、やってなかったことを得られた
  • 自分のことを話すのは恥ずかしいがオープンに語ることでプラスがあった
  • 自分では無理かなと思うアイデアを言ってみたらその人にはハマった。言ってみないとわからないもの
  • 人間関係の問題は当事者同士で上手くやって欲しいと思っていたが、まだマネジメントとしてやれることがある。相手をリスペクトすること
  • 話し手の背景、何を大切にしているかを聴くことの重要性を感じた
  • 業務の違いはあれど、マネジメントのあり方では共感が持てることが分かった

「現実はいつも対話から生まれる」という社会構成主義に立脚してみるなら、組織の変容は、組織を語る言葉の変容から始まるのかもしれません。

#プロラボ流対話型組織開発
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