トム・エーリク・アーンキル「未来語りのダイアローグ」
本日は南山大学で開催されたトム・エーリク・アーンキル氏の講演を聴いてまいりました。
アーンキル氏は、ヤーコ・セイックラと共に「オープン・ダイアローグ」を書いた方です。精神医療領域のヤーコに対し、トムはソーシャルワークの領域の人だそうで。多様な人々が、触れ合う日々の生活において、それぞれの視野を広げ、お互いに深くふれあうダイアロジカルな関係性をつくることを目的にしていることから、オープン・ダイアローグよりも汎用性のある方法論として、「未来語りのダイアローグ」を開発されたそうです。
彼曰く、「大切なのは他者への無条件のリスペクト。私たちは皆それぞれ違う。だからダイアローグが必要なのだ」とのこと。
心配事は何ですか?から始まり、可視化しながら発散していく、そしてその心配事が無くなった未来に時空を飛ばし、何を乗り越えてきたのかを語り合う、そして、現在に戻り具体的な計画を語る、という流れがAnticipation Dialogue(未来語りのダイアローグ)のプロセスです。
お話を聴きながら、アーンキル氏はファシリテーションをしているんだ、と私には見えました。それは、効果的な対話をするためにまず、対話に適した環境づくりをすること、対話の前にまずお互いを理解し、信頼関係を築くことなどに焦点をあてていることを語りました。これはまさにファシリテーションです。そして、頭に浮かんだことを話し易くするためのバス・セッションのことを「声帯を通して整理」する時間と表現され、場を和ますところも、まさにファシリテーターなんだな、と。
未来語りのダイアローグにしろ、オープン・ダイアローグにしろ、何かがあった時に、早期に対応すること、そして、オープンなコミュニケーションとしての対話を行うこと、助けを求めてもいいのだという雰囲気をつくり、当時者とともに解決策を探していくことの大切さを持っているアプローチなのだ、ということを理解することができました。







